西国三十三所ドライブ 第八番 豊山 長谷寺
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この暑さ、ゴールデンウィークを過ぎると牡丹の花の時期を失するのではと、先日行ったばかりの奈良へ、第八番札所 長谷寺に参拝すべく出かけることにした。
片道88キロほどの料金要らずのコースである。
境内駐車場から仁王門へ
国道165号線ではなく、阪名道路(国道25号線)を外れてから県道38号線をくねくねと山越えしてきた。一部狭いところは有るが、車も少なく山間で涼しく快適な道だった。
初瀬川に沿って走るその県道沿いに、境内駐車場が有る。
駐車場から少し坂を上がると、もう途中から真っ赤な牡丹、真っ白な牡丹、淡い牡丹が出迎えてくれる。
門前町から徒歩で上がってくる参拝客の方に、ちょこっと横入りする感じ。
丁度春の
御本尊大観音特別拝観の期間だったので、本堂・大講堂共に見られる共通券で入山することにした。
399段の登廊を上り本堂前へ
仁王門をくぐると第一段目の「
登廊」を上る。2回折れ曲がって399段有る内の最も長い階段である。
その途中、右側に「
宗宝蔵」と言う宝物(国宝・重要文化財)を展示した美術館が有る。
これも春・秋の2階開けられるようで非常に見応えが有った。
(撮影禁止)
さらに、宗宝蔵の一段上の脇道を道草をするように、右手へどんどん行くと、少し下りになった先に大きな杉の木が2本見えて来る。
「
二本の杉」と呼ばれている。
源氏物語22帖「
玉鬘」。夕顔の娘玉鬘がかつて夕顔に仕えた右近と運命の再開をし、共に長谷寺に参り初瀬川のほとりで和歌を詠み交わした。それがこの二本杉の前で、その根元が大きな一本の杉であることから結びの霊木として親しまれている・・とある。
登廊は右に折れ更に少し上る。
朱色の祠(写真中央):「
馬頭夫人宮」
880年頃、大唐国の皇帝が、一際寵愛していた女性が
馬頭夫人と言い、馬面なのを気にしていた。
他の夫人たちは妬み、昼間の花の宴でその顔を晒そうとした。
馬頭夫人は花の盛りまでに何とかしようと相談した仙人から、日本国の長谷寺の観音様に頼ると良いと聞き、教えに従った。
一週間後の朝、夢かうつつか東方より僧が現れ
甁水を顔に掛けたと思い、鏡で見ると端正な顔立ちになっていた。
喜んだ馬頭夫人は宝物を乗せた小舟を海に浮かべ、その小舟は播磨国明石に流れ着き長谷寺に至った。その中に牡丹の種があり、今の境内を飾っているという。
(
長谷寺ホームページより間接引用)
399段と聞いて相当に苦労するかと思われたが一段一段は10数センチで完全に整形された歩き易いものだった。
殆ど疲れも無く登り切ったところに、まるで門の様に「
鐘楼」が建っている。
二本の杉から登廊に戻る頃に正午となり、この
鐘楼で僧が吹くほら貝の音が聞こえていた。
写真は上り詰めて本堂前で振り向いたアングルである。
本堂は特別拝観でじっくり拝観し、御本尊の「
十一面観世音菩薩立像」の足にも触れ願い事をした。
その足元から見上げるとその長身は10m余りにもなり光背を含めると12m13cmとなる。
またこの内陣は本堂側面から入るが、正面一般参拝の場所からは足元は見えず、天井の低い部屋となっている。更に、
徳川家御代々御位牌宮殿、月並みに言うと徳川家の御仏壇なのだが流石に立派なものだった。
本堂内は全面的に撮影禁止のため、詳細は長谷寺ホームページ参照
御本尊が安置されている「
正堂」の前に「
礼堂」が屋根続きで建つ巨大な建物で、更にその正面には参拝用の舞台が山の傾斜に築かれ山内を一望できる。
谷になっている門前町から舞台の高さ、これから山沿いに巡る「
本坊」が正面向かいの高台に見える。
本堂後ろから山の中腹を西へ巡る
正堂横にある「
大黒天」。商売を繁盛させ、財宝を授け、台所を守護し食物を満たすとされる大黒天、流石に御旗の寄進が多い。
木漏れ日が柔らかで澄んだ空気を感じる坂を少し登る。(秋は紅葉が綺麗だろうな!)
登り切ったところに「
弘法大師御影堂」が有る。
西から南に方向を変え少し下っていくと・・・。
道明上人が天武天皇の病気平癒のため
銅板法華説相図(国宝)を鋳造して本尊としたとされる「
本長谷寺」が有る。
良く確認したが撮影禁止ではなかったのでお詣りした後、外から撮影させて貰った。
すぐ横の階段を上がると本長谷寺越しの「
五重の塔」が良いアングルだった。
(実はどちらも裏側なのだが)
この辺りは
蓮華谷と言うようだ。花々に囲まれた小道をたどる。
途中奥の院「
陀羅尼堂」が有ったはずだが、入れないと勘違いしたか。
本坊・大講堂特別拝観
真向かいに五重の塔の先端が見える。これだけ下ってきた。左右を牡丹に囲われた石畳を歩いてくると、門をくぐって本坊前である。
真ん中が入口で左が
大講堂、右が事務所である。これだけの境内、お坊さんもバイクで移動、山内お迎えの軽自動車まで走っている。
早速、大講堂を拝観する。受付で確認すると襖絵や仏像を除いて写真撮影も可能とのこと。
受付前から真っ直ぐ奥を見たとき、赤い葉とも花とも分からない丸みのある木が印象的である。
左手にある講堂の縁を取り巻く廊下を回るとその赤い木のところに至る。
先ず左手に進むとすぐに、講堂内の展示物がみられる(
⇒)。入って両翼に飾られている襖絵の「
夏山水」「
冬山水」は見とれてしまった。
奥に座像が並んでいるが残念ながらここは撮影禁止。
長方形の講堂、長い方の廊下両脇に二条ずつ計四条、全長50mにも及ぶ「
長谷寺縁起絵巻」。昔の人は皆達筆だ。
手前から「近江国・・・」とちょっと興味を引いたので読み出したが、すぐにあきらめの境地。
(
近江高島三尾の里の霊木が御本尊(初代)に使われたとパンフレットに)
講堂の最も奥に立派な部屋が有った。案内を読むと「
玉座」とあるように時の天皇がお座りになる席と言うことである。
本坊を後にして牡丹道の外れまで戻り、下る。
本来の参道入口と門前町
これが本来の参道入口。本坊からはこの参道の左に沿っている小道を下りてきた。
「
総本山 長谷寺」とある。全国にいくつもある長谷寺の元になる場所である。
11時からもう3時前、4時間も真剣に見て回ってもまだ十分ではないほどの見所と広大さである。
パンフレットには奥の院コース、約40分と書いて有るが、ウォーキングコースとしてだと思う。
とにかく腹ごしらえと思ったが2軒「もうお食事時間は終了しました。」と言われて仕方なく門前町の入口まで下っていくと幸いにも「やってますよ」と返事が有った。
勿論、忘れずに草餅「
長谷寺名物 草福餅」は買い求める。幸い下るときは20人くらい列が出来ていたが、帰りはすぐに買えた。
丸く焦げているのが粒餡、包んだようなのがこし餡。
帰りは同じ山道を窓全開で走った。堪能した充実の一日となった。
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